ALUMNI INTERVIEWS

横井 勇人さん
横井 勇人さん

2011年3月卒業 公務員(行政職)/現在はK市役所より某省庁へ出向 データをどのようにとらえ、どのように説明するか

お仕事の内容をお聞かせください。

大学卒業後はK市役所に勤務し、公立の学校建設のための国庫支出金を申請したり、市の予算管理の仕事に従事していました。現在は某省庁へ出向しています。日本におけるある職種に関して勤務時間などの統計調査を行うことで勤務実態を明らかにし、昨今話題の働き方改革につながる、政策形成のための分析や説明資料作成を行っています。

大学時代の学びでお仕事に役立っている点は?

まず大きな概念で言えば、財政学のような学びは、国や地方自治体の大枠を理解するために必須なので、現在の仕事に役に立っています。細かい概念で言えば、表計算やグラフの作成は日々の業務に欠かせない作業なので、エクセルやパワーポイントの演習も有効だったと思います。ただ実際の仕事では技術的なことよりも、表計算やグラフで表したい内容や見せ方のセンスが問われるので、データをどうとらえるか、どのように説明するかという観点では、経済学を学んだことが大いに役立っています。また、これまでの職業経験から、数理・論理的に思考する力は、仕事をするにおいて最も重要な能力のひとつだと感じています。在学中、数学を多用する現代経済学の学びから、答えを導き出すために順序立てて問題を理解し、緻密に計算を進めていく必要性を認識したことで、その能力を身につけることができたのではないかと思っています。ちなみに公務員試験の問題は基本的に選択制ですが、もちろん当てずっぽうで正解を得られるわけでありません。筋道を立てて考えることが必要で、公務員試験勉強の過程でも数理・論理的に思考する力を養えたように思います。

数理・論理的思考とはどういうものですか?

これから大学受験をする皆さんには少し難しい印象があるかもしれませんが、たとえば親にお小遣いの増額を交渉するとき、ただやみくもに要求をぶつけるだけでは交渉はうまくいきません。説得するための理由として考えられるのは、いつも買っているものが値上がりした、使用頻度が上がって必要数が増えた、これまで買っていなかった新しいものが必要になった、または友達のお小遣いの額と比較する、といった辺りでしょうか。これを行政に置き換えると、物価上昇、需要の増加、新たな需要といった社会の変化、国や自治体との水準の違いということなりますが、このように数理的に考え、筋道を立てて論理的に説明することは、仕事にも日常的な会話にも必要ではないかと思います。

経済分析専攻の2コースについてご意見をお聞かせください。

経済分析専攻のカリキュラムは、「ロジカルシンキング」や「ライティング」に重きをおいているそうですが、お話ししたように数理・論理的な思考は、公務員試験の勉強にも仕事にも必要な能力であり、説得力のある文章を書く力も同様に大事です。私の在学中は文章を書いて添削してもらえるカリキュラムはありませんでしたが、大学の授業で文章力を身につけられれば、社会に出てからどんな仕事についても強みになると思います。また、データ分析も学べるそうで、これには統計学も含まれると思います。私は役所の仕事で統計を扱うとは思っていなかったので在学中はほとんど勉強しませんでした。そのため統計学に関する知識が不足していて、現在携わっている統計調査で苦労していることもあり、在学中に学べる皆さんがうらやましいです。

※所属は取材時のものです。