ALUMNI INTERVIEWS

企業などでデータ分析に携わる小野寺さんと、国や自治体の行政に従事する公務員の横井さんは経済学部の先輩です。
現在のお仕事の内容や大学の学びで役に立っていることなどを交えながら、経済分析専攻で学ぶ数理・論理的な思考やデータ分析についてお話を伺いました。

小野寺 和樹さんデータ分析に必要なセンスと想像力は大学時代に培いました

  • 2010年3月卒業
  • Yahoo! JAPAN データサイエンティスト
  • Sansan株式会社(クラウド名刺管理サービスを開発・提供する会社) 顧問(2017年8月時点)

Q. お仕事の内容をお聞かせください。

大学卒業後は金融コンサルタントをしていましたが、データ分析競技の世界大会KDD CUP 2015で準優勝したあと、Yahoo! JAPANに入社しました。現在はオークション担当として、データを分析することでユーザーの需要を予測したり、詐欺等の不正を検知したりする仕事をしています。他に副業としてSansan株式会社の顧問、某企業の総合研究所のデータ分析等にも携わっています。会社の看板でなく自分の実力で勝負できる世界なので非常にやりがいがあります。

Q. データを分析するとはどういうことですか?

たとえばオークションなら、ユーザーの年齢、性別、これまでに買った品物、買い物した回数といった情報が残りますが、これらのデータを分析し、なんらかの法則性を導き出すことで、ユーザーが次に買いそうなものを予測することができます。皆さんの身近にあるコンビニエンスストアのようなお店も同じで、物販では販売の実績データを分析することで、商品のラインナップや在庫数を需要に見合ったものに最適化し、無駄のない仕入れや売上増加につなげることを目的としています。物販だけでなく一般企業などでも、たとえば新しいプロジェクトで自分の意見を主張するときに、それが個人の思い込みではなく正当性のあることだと証明するにはデータの裏付けが必要だと思いますし、反対に信用性の低いデータを提示されたときには、それを見極める力も大事です。専門の分析官ではなくても、社会で仕事をするには、ある程度のデータ分析力が必要ではないかと思います。

Q. データ分析には、どのような能力が必要ですか?

まず、データから法則性を導き出すために数学的なテクニックはもちろん必要です。私も大学時代にもっと数学を勉強しておけばよかったと思っていますが、単に数学だけをバリバリ勉強し、数字を処理できるようになればデータを正しく分析できるかと言えばそうではありません。ちなみに最近、あるテレビ番組で人工知能(AI)を使ったデータ分析を行った結果、ある町で病院数が減少したら病人も減少したという結果が出たそうです。これを番組では、病院が減ったことで高齢者の健康意識が高まったという解釈をしたそうです。しかし、自分の家の近くの病院がなくなってしまったら、重病の人は病院のある他の町に出て行くでしょうから、その結果が数字に表れたという可能性もあるのではないかと思います。たとえAIで多くのデータを処理することができたとしても、そのデータの意味を読み取ることができなければ、判断を間違うこともあるわけです。つまりデータを分析するには、どの情報が重要で何が不要かといったことも見極めながら論理的に考えなければならないし、社会の動向や経済現象に関する知見も必要です。言ってみれば目利きのできるセンスがモノを言う仕事で、そのために必要な能力のひとつは想像力です。私は大学時代からいろいろな人と出会い、自分がそれまで知らなかった様々な話を聞くことで想像力を培ったと思っています。

横井 勇人さんデータをどのようにとらえ、どのように説明するか

  • 2011年3月卒業
  • 公務員(行政職)/現在はK市役所より某省庁へ出向(2017年8月時点)

Q. お仕事の内容をお聞かせください。

大学卒業後はK市役所に勤務し、公立の学校建設のための国庫支出金を申請したり、市の予算管理の仕事に従事していました。現在は某省庁へ出向しています。日本におけるある職種に関して勤務時間などの統計調査を行うことで勤務実態を明らかにし、昨今話題の働き方改革につながる、政策形成のための分析や説明資料作成を行っています。

Q. 大学時代の学びでお仕事に役立っている点は?

まず大きな概念で言えば、財政学のような学びは、国や地方自治体の大枠を理解するために必須なので、現在の仕事に役に立っています。細かい概念で言えば、表計算やグラフの作成は日々の業務に欠かせない作業なので、エクセルやパワーポイントの演習も有効だったと思います。ただ実際の仕事では技術的なことよりも、表計算やグラフで表したい内容や見せ方のセンスが問われるので、データをどうとらえるか、どのように説明するかという観点では、経済学を学んだことが大いに役立っています。また、これまでの職業経験から、数理・論理的に思考する力は、仕事をするにおいて最も重要な能力のひとつだと感じています。在学中、数学を多用する現代経済学の学びから、答えを導き出すために順序立てて問題を理解し、緻密に計算を進めていく必要性を認識したことで、その能力を身につけることができたのではないかと思っています。ちなみに公務員試験の問題は基本的に選択制ですが、もちろん当てずっぽうで正解を得られるわけでありません。筋道を立てて考えることが必要で、公務員試験勉強の過程でも数理・論理的に思考する力を養えたように思います。

Q. 数理・論理的思考とはどういうものですか?

これから大学受験をする皆さんには少し難しい印象があるかもしれませんが、たとえば親にお小遣いの増額を交渉するとき、ただやみくもに要求をぶつけるだけでは交渉はうまくいきません。説得するための理由として考えられるのは、いつも買っているものが値上がりした、使用頻度が上がって必要数が増えた、これまで買っていなかった新しいものが必要になった、または友達のお小遣いの額と比較する、といった辺りでしょうか。これを行政に置き換えると、物価上昇、需要の増加、新たな需要といった社会の変化、国や自治体との水準の違いということなりますが、このように数理的に考え、筋道を立てて論理的に説明することは、仕事にも日常的な会話にも必要ではないかと思います。

Q. 新設される2コースについてご意見をお聞かせください。

新設コースのカリキュラムは、「ロジカルシンキング」や「ライティング」に重きをおいているそうですが、お話ししたように数理・論理的な思考は、公務員試験の勉強にも仕事にも必要な能力であり、説得力のある文章を書く力も同様に大事です。私の在学中は文章を書いて添削してもらえるカリキュラムはありませんでしたが、大学の授業で文章力を身につけられれば、社会に出てからどんな仕事についても強みになると思います。また、データ分析も学べるそうで、これには統計学も含まれると思います。私は役所の仕事で統計を扱うとは思っていなかったので在学中はほとんど勉強しませんでした。そのため統計学に関する知識が不足していて、現在携わっている統計調査で苦労していることもあり、在学中に学べる皆さんがうらやましいです。