浦沢 聡士 ゼミナール
研究課題 |
経済ゼミナールⅠ 「経済学を用いたデータの見方・使い方の実践Ⅰ」 経済ゼミナールⅡ 「経済学を用いたデータの見方・使い方の実践Ⅱ」 経済ゼミナールⅢ 「経済学を用いたデータの見方・使い方の実践Ⅲ」 |
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研究内容
「大学時代に何を学んだのか?」と問われた際に、迷わず胸を張って答えることができる、経験、成果の蓄積を目的として、ゼミでは、現実の経済、社会の動きを教材に、経済学の考え方とデータに基づく分析活動を行い、データ分析の第一歩を踏み出していきます。
最近、世の中では「21世紀の資源」とも呼ばれるデータを活用し、社会課題の解決や新たなビジネスの創出に繋げるといった取組が加速していますが、ゼミでは、経済社会活動の“見える化(可視化)”といったコンセプトのもと、データ分析に取り組んでいます。
(データの見方:自分が見ているデータは何?)
- データの特徴を理解し、データが示す傾向を把握するために、データの見方を学びます。クロスセクションデータであれば、平均・中央値・最頻値といった代表値、データのバラツキを示す分散・標準偏差などの基本統計量とともに、データの全体像を浮かび上がらせる分布の意味とその見方などについて、時系列データであれば、原数値と前年比、季節調整値と前期比といった基本的な特徴、見方などについて学んでいきます。
(データの使い方:データを使って自分は何を言いたいの?)
- データ分析は変数間の関係性を定量的に把握することを可能とします。そうしたデータ分析手法の基礎となるOLS(最小二乗法)について、OLSを実装する分析ツールとともに学びます。確率や統計学の基礎を学ぶことで、データを用いた統計学的推測(観察されるデータから観察されない母集団の特性を考える)、また、予測(観察される過去のデータから観察されない将来のデータを作る)などを行うことが可能となりますが、こうしたスキルを実際にデータに触れながら学んでいきます。
以上の取組を通じて、自分の問題意識に応えるために、どういったデータを、どう使えばいいのか、といった学びの芽を育てるデータ分析の基本的スキルを身につけていきます。ゼミでは、演習用データとして経済データ(株価や販売データなど)を中心に扱いますが、ゼミ生の関心に応じ、経済データに限らずデータ全般について広く扱っていくことも検討します。目的意識のない分析ではなく、何よりも自分なりの問題意識(学びの芽)を持って、自分なりの視点から分析することを大切にします。
演習に際し、活きたデータに触れる機会を設けるため、ゼミでは、携帯電話端末のGPS 位置情報から得られる利用者の位置情報(いわゆる人流データ)を用い、ゼミ生の関心のあるエリア(例えば神大・横浜キャンパス周辺)について、コロナ前後の人流の変化を分析してみたりもしています。(教員は人流データやクレジットカードデータ等の近年登場した“新しい”タイプのデータを使って研究活動を行っています)
(ゼミⅠ)学びの芽を持つ
- データの見方、使い方といった観点から、必要となるデータ分析の基本を学びます。また、教員が設定する問題意識に対して、ゼミ生が答える形でデータ分析演習を進めることを通じて、ゼミⅡ、Ⅲで扱っていくこととなる自分なりの関心・問題意識を設定していきます。
- ゼミ生自身も関心分野のデータを用いてOLSを行います。何のために分析を行うのかといった目的・問題意識の設定、先行研究の紹介、データの説明、分析前の仮説設定、分析結果の報告・解釈といった一連の作業を通じてデータ分析を体感します。
(ゼミⅡ)学びの芽を育てる
- ゼミⅠでの議論を基に、自らの問題意識をブラッシュアップした上で、問題意識に基づく分析を開始します。まずは、自分と同じ関心を持つ人がどういった分析を行っているか調べる、自身でもそうした分析の再現を行うなど、いわゆる先行研究に関する調査を行うことから始め、次にそうした成果を自身の分析に応用していきます。
(ゼミⅢ)学びの花を咲かせる
- ゼミⅢでは、自らの問題意識に基づく仮説を適切なデータ、手法に基づき検証し、その結果を問題意識にフィードバックしていくといった分析サイクルを繰り返す中、得られた成果を、卒論としてまとめていきます。自分の問題意識、アイデア等を文字に起こし、自分以外の人にも理解・共感してもらうことは、研究に限らず、プロジェクトの企画・立案など社会に出てからの重要なスキルとなります。データ分析は、そうした際に、自らの主張をより説得的なものとすることを助けてくれます。
指導方針
- 見て、知ることから始め、実際に触れ、最終的には自身で使うことができる、より実践的なスキル(問題意識の設定、データ分析の基本、論文(レポート)執筆の基本 等)の習得を目指します。また、データ分析の演習を通じて、明らかにしたいと思う事象が生じた際に、そうした問題意識に対し、どういったデータを、どのように用いてアプローチしていくかといった視点・切り口、言い換えれば、問題意識を踏まえた適切な分析枠組みを構築するといった経験を積んでもらいます。
指導教員プロフィール
専門分野 | 景気循環論、GDPナウキャスティング、経済政策 |
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担当講義名 | 経済政策、マクロ経済学 現代日本経済論、経済入門 |
学外活動 | 日本経済研究センター「AI・ビッグデータ経済モデル研究会」メンバー、立正大学データサイエンスセンター共同研究員、東京財団政策研究所主任研究員(客員) |
先輩(第1期ゼミ代)より新ゼミ生へ一言
- ゼミでは基本的にOLSという手法を用いてデータの分析を行います。
- このOLSという手法を用いて、漠然とある数字(データ)を眺めるだけでなく自分の手を動かして分析をします。その結果から、自分なりの問題意識を持つことがとても大切だと思い日々学習しています。このゼミで学んだことは将来的に皆さんの役に立つと思います。
教員より新ゼミ生へ一言
- 2023年度は、第3期のゼミとなります。第1期、第2期のゼミ生である皆さんの先輩は、初めて行うデータ分析演習の中で、高齢化と空家の関係、ワクチン接種率と新規感染者数の関係、気温と季節商材の関係、住みやすさと人口増減の関係、テーマパークの入場者数と売上の関係など、様々な関心の下で作業に取り組み、“苦労”とともにデータ分析の“楽しさ”を知りました(一部教員の希望的見方を含む)。
- 引き続き、皆さんの関心・興味に応えることを目的として柔軟な(オーダーメイドな)ゼミ運営を行い、第3期生となる皆さんとは、第1期生、第2期生とともに、将来に続くゼミの基礎作りを一緒にできればと考えています。
※2022年度には、サイバーエージェントのリサーチサイエンティストの方をお招きし、「データ分析×経済学」について学びを深めてみたりもしました。
※データ分析に関心がある方は、本学HP上の研究室の紹介もご覧いただければと思います。
選考方法
- エントリーシートと面接(皆さんの関心事項を中心に伺います)で選考を行います。入ゼミを希望する方は説明会への出席をお願い致します。