宇井 貴志 ゼミナール

研究課題 経済ゼミナールⅠ 「協力の科学としてのミクロ経済学Ⅰ」
経済ゼミナールⅡ 「協力の科学としてのミクロ経済学Ⅱ」
経済ゼミナールⅢ 「協力の科学としてのミクロ経済学Ⅲ」

研究内容

市場では,市場参加者全員が交換のメリットを迅速に享受することができる.複数の人が集まることによってはじめて実現できることだ.したがって交換とは協力の一種であり,市場とはその協力の成果を素早く実現するための仕組みである.

このため市場を研究対象とするミクロ経済学を「協力の科学」と呼ぶことができる.どのようなときに協力は成功するか?どのようなときに失敗するか?失敗したときはどうすればよいか?こうした問題を考えるのがミクロ経済学である.

このゼミナールでは,「協力の科学」としてのミクロ経済学の基礎から応用までを学ぶ.協力について考える上では,ゲーム理論が非常に有用である.一方,ゲーム理論を理解するためには,数学の知識が不可欠である.さらに,ゲーム理論が導き出す結論を吟味するためには,統計学,心理学,社会心理学,社会学などの知識が役に立つ.つまりミクロ経済学を学ぶ上では,経済学以外の分野についても学ぶことが大切なのだ.

ゼミナールⅠでは,ミクロ経済学を受講することを前提とし,授業で学んだ内容をさらに深く理解するために経済数学の教科書および関連する文献を輪読する.

ゼミナールⅡでは,ミクロ経済学と経済数学の知識を前提とした上で,ミクロ経済学やゲーム理論の教科書を輪読する.また必要に応じて統計学などについても学習する.

ゼミナールⅢでは,ゲーム理論の応用に関する教科書を輪読する.産業組織論,情報の経済学,マーケットデザインなどの中からゼミ生の興味に合わせてトピックを選択する.

指導方針

指示した文献や本を輪読する.例えばある本のある章を輪読する場合,①全員が本を読んだ上で,②当番の人がスライドを用いて内容についてプレゼンテーションを行い,③全員で内容について議論する.したがってゼミナールでは,プレゼンテーションの技術についても指導する.

参考書

渡辺隆裕(2021)『一歩ずつ学ぶゲーム理論』裳華房

指導教員プロフィール

専門分野 ゲーム理論,ミクロ経済学
主要業績 Ui, T., 2020. The Lucas Imperfect Information Model with Imperfect Common Knowledge. Japanese Economic Review 71, 85-100.
Ui, T., 2016. Bayesian Nash Equilibrium and Variational Inequalities. Journal of Mathematical Economics 63, 139-146.
Ui,T., Yoshizawa, Y., 2015. Characterizing Social Value of Information. Journal of Economic Theory 158, 507-535.
Ui, T., 2001. Robust Equilibria of Potential Games. Econometrica 69, 1373-1380.
Ui, T., 2000. A Shapley Value Representation of Potential Games 31, 121-135.
担当講義名 公共経済学,ミクロ経済学

教員より新ゼミ生へ一言

経済学をしっかり学ぶと,社会を俯瞰する視点を得ることができる.こうした視点は,私達が所属する集団(家族,サークル,大学,会社,地域,国家など)の様々な問題についてどう考え,どう対処すればよいか,こうした問題を考える上で必ず役に立つ.一方,経済学を深く理解するためには,数学や統計学などの勉強も不可欠である.こうした勉強は,経済学の理解とその実践に役に立つだけでなく,AIが活用される現代社会においては社会人の強力な武器にもなる.これを信じて一生懸命に勉強したい学生を歓迎したい.

選考方法

書類と面接で決定する.

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