奥山 茂 ゼミナール

研究課題 経済ゼミナールⅠ  「企業評価入門―優れた企業の条件」
経済ゼミナールⅡ  「戦略的会計政策―意思決定としての企業会計」
経済ゼミナールⅢ  「変革期の企業会計―21世紀の会計環境」

研究内容

経済ゼミナールⅠ

従来は、企業を評価する場合に企業規模・売上高・株価などの経済的な指標が好んで用いられていました。実際に、企業の買収・合併、新株発行、株式交換・移転、分社化、営業譲渡、株式売却などの場面では企業評価が活用されています。このような場合の企業評価は、主として特定の事業・企業(あるいは企業グループ)を対象としておこなわれることになりますが、他方では統一的な評価基準によってあらゆる企業についての「格付け(rating):たとえば代表的なものとしては有名な格付け機関であるStandard & Poor’sによる社債の格付けなど」あるいは「ランキング:たとえば日本経済新聞社等が共同開発した企業評価システムによる優れた企業ランキング」などもおこなわれています。このような「格付け」あるいは「ランキング」もまた企業評価の一種といえるでしょう。しかし最近では、従来のような経済的指標だけではなく、社会的貢献度、たとえば環境・地域社会・株主・顧客などに対する企業の姿勢・対応なども重要な評価基準になってきています。また、「コーポレート・レピュテーション(企業の評判:corporate reputation)」が高まると業績も良くなり、株価にも好影響を及ぼし、企業価値の増大につながる一方で、不祥事によりそれが低下すると業績の悪化、株価の下落を招き、場合によっては企業の存続危機につながりかねません。そこで、本ゼミナールでは伝統的な企業評価の方法を分析・検討するだけではなく、「新しい時代の優れた企業にはどのような条件が必要なのか」、そして「企業価値を高めるためにはどのようなフレームワークが必要なのか」という視点から、新しい企業評価の基準について考えます。

経済ゼミナールⅡ

「企業会計」を投資家などの情報利用者の立場ではなく、情報提供者としての企業の立場から考察してみると、財務会計と管理会計のどちらの領域においても意思決定がおこなわれていることがわかります。その場合に、会計情報の作成自体についての意思決定と会計情報を利用した意思決定とが区別されることになります。本ゼミナールでは、これらの財務会計および管理会計が企業経営における意思決定とどのように関わっているのかという問題に焦点を当てて、意思決定という視点から企業会計を観察・分析します。

経済ゼミナールⅢ

「企業会計」においても、これまで経験したこともないほどの大きな変化が今まさに起きているといえます。本ゼミナールでは、この変化が具体的にどのようなものであり、それはどのような理由から生じてきたのか、あるいは生じることになるのかというような問題に焦点を当てて、財務会計・管理会計における新たな基準・技法について考えます。

指導方針

ゼミナールの活動の中心は、各学期中の学年ごとの本ゼミナールと3学年合同の夏期合宿です。また、必要に応じてサブゼミナールを随時実施しています。各年次の本ゼミナールの活動内容は、下記の通りです。

経済ゼミナールⅠ

本ゼミナール開始当初には、「優良企業」を個々に分析することにより、それぞれの特性を解明します。その後は、主に具体的な企業評価の方法についての実践的な演習を通じて、基本的な企業評価の方法を自由に駆使できるようになることを目指します。最終的には特定の企業評価についてのプレゼンテーションをおこないます。(ゼミナールⅠでは一応ここまでを目標とします)。なお、このゼミナールテーマの一環として「株式投資コンテスト」も実施します。

経済ゼミナールⅡ

本ゼミナールでは、前ページの研究課題についての理解を深めるために、昨今の「企業会計」の変革に関する文献・資料(雑誌・新聞など)の講読・報告・討論を通じて最近の企業会計の動向についての共通の知識を身に付けるとともに各自が関心を持っている個別テーマについて次年度の卒業論文の準備をします。また、企業評価と業界分析にも並行して取り組みます。なお、このゼミナールテーマの一環として後学期には「マネジメントゲーム」も実施します。

経済ゼミナールⅢ

本ゼミナールではゼミナールⅡにおいて選択した個人テーマについて、従来の研究を概観した上で各自の視点から自説を卒業論文としてまとめてもらいます。各自の進捗状況に応じて随時報告をおこなうことによって、修正・改良を加え、より高品質な卒業論文の完成を目指すことになります。

指導教員プロフィール

専門分野 簿記論、制度会計論
主要業績 「ドイツ会計制度における貸借対照表論の意義」『税経通信』1999年8月号
「ドイツ会計原則の体系―『正規の簿記の諸原則』への解釈学的アプローチ―」『商経論叢』第35巻第4号
「ドイツ会計指令法における選択権の類型化―比較可能性原則との整合性に関連して―」『産業経理』第60巻第4号
「ドイツ連結会計思想の生成と展開」『商経論叢』第37巻第4号
「EU会計戦略とドイツ連結会計制度改革との整合性―国際財務報告基準(IFRS)への収斂の可能性に関連して―」『商経論叢』第38巻第2号
担当講義名 基礎簿記、基礎会計、管理会計論、コストマネジメント論

教員より新ゼミ生へ一言

メリハリのある学生生活にはゼミナールは欠かせません。自分が調べたことを人前で発表することが苦手だと思っている人、大学(教員・学生)とのつながりに物足りなさを感じている人、何かに熱中してみたいと思っている人、今までの自分あるいは自分の殻をブレークスルーしたいと思っている人、国家試験に挑戦したいと思っている人、皆さんに参加資格があります。本ゼミナールに参加することによって、参加者各自が自分自身を再発見することのきっかけになることを願っています。「簿記・会計」のセンスは問いませんが、少なくとも「企業の経営・会計」をめぐる諸問題について2年半の期間にわたって積極的かつ自発的に取り組む意欲があり、「卒業論文」を書いて大学生活・ゼミナール活動を完結させようという強い意志のある人の参加を期待しています。

選考方法

事前に記入してもらう「自己分析・評価シート」にもとづいて面接をおこないます。

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