鳴瀬 成洋 ゼミナール
研究課題 | 経済ゼミナールⅠ 「国際経済の基礎理論を学ぶ」 経済ゼミナールⅡ 「グローバリゼーションと現代世界――アメリカ、EU、アジア、新興国などの観点から世界経済をとらえる――」 経済ゼミナールⅢ 「グローバリゼーションと現代世界 ―― 現代が提起している問題をとらえ、卒業論文をまとめる ――」 |
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研究内容
私のゼミナールは、世界経済や日本経済が直面している問題をテーマとして、3年次に共同で、あるいは個人で論文を作成し、学生論文集『かながわ論叢』に応募することや、神大フェスタで発表することを目標に勉学を進めている。
最近は次のようなテーマで論文をまとめた。
- 2018年度:「ビットコインは貨幣になりうるか」「不平等について」
- 2019年度:「Brexit-揺れ動くイギリス」「米中貿易戦争」「アマゾンとプラットフォーム企業」「衣料品の大量廃棄問題について」「日本の生産性」
- 2020年度:「中国の一帯一路」「地球温暖化と炭素税」「5Gが世界経済に与える影響」「アメリカの移民問題」「フェアトレード」「食品ロスと日本の取組み」「日本における外国人労働者問題」「日本の観光産業」「難民問題」「サブスクリプション」「キャッシュレス決済」
- 2021年度:「フェアトレード」「SDGs」「一帯一路」「WTOとFTA」「アマゾンとリアル店舗」「韓流のもたらす経済効果」「経済的不平等をなくすために」「Brexitと北アイルランド問題」「デジタル化が進む未来の銀行」「飢餓について」
- 2022年度:「グローバル・バリューチェーン」「スウェーデンの経済と社会」「なぜ日本の賃金は上がらないのか」「SDGs」「現代日本の中小企業」「アメリカの移民問題」「沖縄経済と観光」「EU離脱後のイギリス」「AIが金融にもたらす影響」「GAFA」「ブラック企業対策」
ゼミナールでは、国際経済の基礎知識を身につけることから始め、世界経済が直面している具体的問題について分析する。
「グローバリゼーションの時代」といわれる現在の世界経済では、様々な問題が生じている。特に、2008年のリーマン・ショック後、世界経済は大きく変わった。
- アメリカでは、複雑な金融商品を販売して危機をつくりだした銀行が救済される一方、その犠牲になった低所得層の救済は進まなかった。また、上位1%層が所得の25%を占めており、1990年代半ば以降、上位1%層の所得が下位50%層の所得を上回っている。
- トランプは、こうした事態を放置したエリート政治家を批判し、忘れられた人々の心に訴え、「アメリカ第一主義」を掲げ、大統領になった。バイデン政権になってもアメリカの分断は当分続きそうだ。
- 一方、中国はリーマン・ショック後、4兆元の公共投資を行い、GDPで世界第2位になり、2049年までに製造強国の先頭に立つという目標を掲げている。
- 中国に脅威を感じたアメリカは対中国輸入に制裁関税を課し、中国企業ファーウェイを排除し始めた。両国の間にはハイテク技術覇権を巡る対立がある。
- 中国は「一帯一路」構想を発表し、アジア・アフリカ・ヨーロッパを網羅する広域経済圏の形成に乗り出している。これに対抗してEUは域外のインフラ整備を支援するための「グローバル・ゲートウェー」を発表した。
- 2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻し、冷戦後の世界秩序に亀裂が走った。こうした大国間の対立と協調が21世紀の世界経済を動かしていくだろう。
世界や日本で様々な問題が起きていることを踏まえ、「グローバリゼーション」という観点から現代世界を捉えることをゼミナールの課題とする。みなさんがチャレンジ精神をもって多少難しい本を読み、こうした問題に取り組むことを期待します。
【経済ゼミナールⅠ】では、国際貿易や国際金融などの基礎理論を学び、世界経済の現状を知ることを課題とする。
【経済ゼミナールⅡ】では、「グローバリゼーション」という観点から現代世界について分析し、10月末をめどに論文を作成して『かながわ論叢』に応募することを目指す。論文テーマはゼミ生の問題関心に基づいて決定する。だから、日頃から新聞などを読み、世界経済や日本経済に起こっていることに目を光らせておく必要がある。
【経済ゼミナールⅢ】では、ゼミナールの仕上げとして、卒業論文をまとめることを目標にする。テーマは世界経済、日本経済、現代社会などに関することなら何でもよい。
指導方針
一方通行になりがちな講義とは異なり、ゼミナールの主体はゼミ生自身である。ゼミナールでは毎回、報告者を決めてテキストを輪読する。ゼミナールに参加するには、事前にテキストを十分読むなどの準備をしておくことが必要である。まず報告者が担当した章の概要説明と問題提起を行い、その後は自由討論とする。
テキストを読むことは同時に考えることである。文献を理解する力が重要なことはもちろんだが、それと並んで大切なのは、疑問を感じる能力、他の人にも分かるように説明する能力、自分の考えを述べる能力、討論する能力である。ゼミナールでの勉学を通じてこれらの能力の鍛錬に努めたい。また、教師、友人との交流を通じて人間的にも成長してほしい。
使用文献
妹尾裕彦ほか編『地球経済入門』法律文化社、2021年
大橋英夫『チャイナ・ショックの経済学』勁草書房、2020年
椋寛『自由貿易はなぜ必要なのか』有斐閣、2020年
小林尚朗ほか編『貿易入門』大月書店、2017年
指導教員プロフィール
専門分野 | 貿易論、世界経済論 |
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主要業績 | 『資本論体系 第8巻 国家・国際商業・世界市場』(共著)有斐閣 『国際貿易の古典理論』(共著)同文舘 『ポスト冷戦の世界経済』(共著)文眞堂 『IT時代と国際経済システム』(共著)有斐閣 『<帝国>を考える』(共著)双風舎 『現代世界経済をとらえる Ver.5』(共著)東洋経済新報社 Ricardo and International Trade (共著)Routledge 『地球経済入門』(共著)法律文化社 『アジア経済論』(共著)文眞堂 |
担当講義名 | 貿易論Ⅰ・Ⅱ |
その他 | 趣味はクラシック音楽鑑賞 |
現役ゼミ生より一言
ゼミってどんな活動をするの、ゼミに入るとなんかいいことがあるの、なんてのが、みんなが考えていることだと思う。大学の講義は高校と違い大人数で、中にはツマンナイ講義もあるよね。だけどそんな中で、ゼミは少人数で、先生と一緒に熱く経済のことを学び、経済以外にもいろんなことを語り合える場なんだ。ゼミで一番必要なのはやる気と関心。世界経済に興味のある人はぜひ鳴瀬ゼミに。
じゃ、鳴瀬先生ってどんな人かって。「熱い」「ワインが好き」「テニスがちょっとだけ上手い」「教え方が的確」「リカードウにこだわる」「意見をよく聞いてくれる」。以上、われらの鳴瀬先生でした。(経済ゼミナールⅢ幹事 藤田悠貴)
選考方法
2023年度は、経済ゼミナールⅠは募集しません。経済ゼミナールⅡは同Ⅰからの、経済ゼミナールⅢは同Ⅱからの継続とします。