井上 修 ゼミナール

研究課題 経済ゼミナールⅠ 「財務データベースの利用」
経済ゼミナールⅡ 「利益マネジメントの類型と分析方法」
経済ゼミナールⅢ 「財務報告の質に関する分析」

研究内容

本ゼミナールの目標は、株価や財務データを用いた統計的分析によって企業の利益マネジメント行動を中心に「財務報告の質(企業が財務情報を社会にどれだけ正しく開示しているか)」を明らかにすることです。本ゼミナールの最大の特徴は、「担当教員が現在取り組んでいる研究を一緒に考え、共に進めていく」というスタイルです。みなさんと一緒に新しい研究課題にチャレンジし、同じ目線で一緒に勉強して知識を共有し、発見の喜びや失敗の苦しみを共に分かち合っていきたいです。少し難しく見える研究内容かもしれませんが,必ずできるようになりますし,みなさんの今後のキャリア形成にとって大きな武器になりますので,是非,挑戦してみてください!!

経済ゼミナールⅠ

経済ゼミナールⅠでは、本学で利用可能な財務データベースである「NEEDS-FinancialQUEST」の利用方法を習得していきます(神奈川大学はすごいデータベースを持っているんですよ!)。このデータベースを使えば、全ての上場企業の財務データを数十年の期間にわたってあらゆる財務項目を一気に取得することができ、様々な仮説検証をすることが可能となります。ゼミナールの初年度は、財務データベースを使いこなして、株価と財務数値との関連性など、様々な仮説をみなさん自身で自由に検証することを目標とします。ビックデータを用いた統計的分析の手法は、みなさんがこれからの経済社会で活躍するための重要な知識です。

経済ゼミナールⅡ

利益マネジメントの手法は、①会計的利益マネジメント、②実体的利益マネジメント、③区分表示シフトによる利益マネジメントの3つに分類されます(今は何もわからなくて大丈夫です。)。経済ゼミナールⅡでは、利益マネジメントの類型と分析方法について研究していきます。先行研究をベースにして、どのような動機に基づいて利益マネジメント行動が行われるのかを考えていきます。ゼミの最終目標としては、実際に財務データベースを用いて、①利益の分布、②裁量的会計発生高の推定、③特別損益に着目したコロナ禍における利益マネジメント行動の可能性について検証していきます。

経済ゼミナールⅢ

利益マネジメントの観点から利益の質の向上に貢献することができれば、SDGs達成に貢献できるものと考えています。例えば、より質の高い会計ルールが効率的な資源配分の「尺度」として機能すれば、限られた資源が有効かつ効率的に使われることになり、ひいては、社会全体の経済活動の有効性や効率性が向上します。会計の力は、持続可能な社会の経済面でのインフラであることは確かです。 では、財務報告をする企業側から見た場合、どのような要因がより質の高い財務報告をもたらすのでしょうか?

経済ゼミナールⅢでは、財務報告の質を高める要因として、①会計監査の質、②企業統治(ガバナンス)の有効性、③CSR(社会的責任)への取り組みを取り上げていきます。監査を含むガバナンスのデータベースとCSRへの取り組みを指標化したデータベースを用いれば、企業のいかなる要因が財務報告の質に影響を与えているのかを検証することができます。たとえば、利益マネジメント行動の度合を財務報告の質の代理と考えて、その質に影響を与える要因をみなさん自身で設定し、検証することができます。もしかしたら、女性役員の割合の高さが優れた財務報告をもたらすかもしれません。

なお、現在、持続可能な世界の実現のために「ESG(環境・社会・ガバナンス)開示」が国際的に注目を集めています。財務報告も、この3つの観点との関わりの中でその役割を考える必要があります。現在では企業のESG活動に対する取り組みを指標化したデータベースも利用可能となっています。みなさん自身の力で企業がこれから重視すべき経営の視点についてデータを用いて具体的に示すことを卒業論文のテーマとして取り組んでもらいたいです。

指導方針

ゼミナールの活動は、与えられた参考文献をまずみなさん自身の言葉に変換することからスタートします。決して要約でとどめずに自分の言葉を使って自分の力で説明することで、自分自身の力にしてください。本ゼミナールでは、会計の知識やパソコンの知識が必要となりますが、みなさんがこれらの知識の必要性を実感し、是が非でも習得して自分のものにしたいと思っているならば大丈夫です。

また、外部での研究発表や論文コンクールへの投稿にも積極的に取り組んでいきます。なお、ゼミナール内の連携やコミュニケーションを深めるために、合宿や運動など様々なイベントを用意したいと思っています。全体を通して、外部に通用する「客観的で具体的な成果」を常に意識していきます。

指導教員プロフィール

専門分野 財務会計論、国際会計論、監査論
主要業績 「Classification shifting using discontinued operations and impact on core earnings: Evidence from Japan」『Journal of Financial Reporting and Accounting』Vol.19, No.2, pp.211-233.
「Determinants of Disclosing Key Audit Matters in Japan: Early evidence in audit reports 2021」『Fukuoka University review of commercial sciences』Vol.67, No.3,pp.223-267
「Earnings Management using Other Comprehensive Income Recycling: Evidence from Japan 『Fukuoka University review of commercial sciences』Vol.65, No.2, pp.265-309.
「日本におけるIFRS適用企業の減損損失の戻入れに関する分析」『会計・監査ジャーナル』第32巻第6号,pp.102-109.
担当講義名 基礎簿記、基礎会計、財務会計論、連結会計論

教員より新ゼミ生へ一言

企業が今現在そしてこの先の未来において直面するであろう課題を解決する取り組みは、みなさんの就職活動や経済のエキスパートとして活躍するために必ず大きな武器になります。

みなさん自身の力で、新しいテーマにチャレンジしてその成果を形に残すことを想像してみてください。そのときに少しでもポジティブな気持ちを思い描いた(ワクワクした)ならば、是非このゼミナールに飛び込んでください!!

選考方法

事前に記入してもらう「自己分析・評価シート」にもとづいて面接をおこないます。

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