原口 純一 ゼミナール
研究課題 | 経済ゼミナールⅠ「産業組織論・競争政策論・ビジネスの経済学1」 経済ゼミナールⅡ「産業組織論・競争政策論・ビジネスの経済学2」 経済ゼミナールⅢ「卒業研究」 |
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研究内容
完全競争市場では企業は価格を所与として利潤最大化の意思決定を行います。完全競争市場のように企業が価格支配力を持たないような状況では、市場を通した取引はその価値を十分に発揮することができます。しかし、多くの産業において市場は独占や寡占など少数の企業が市場を支配する不完全競争市場です。こうした市場においては企業が価格支配力を持つため、市場を通した取引が必ずしも望ましい結果をもたらすとは限りません。そうした様々な産業において、市場の構造や市場における企業の意思決定がどのような帰結をもたらすのかをミクロ経済学・ゲーム理論・計量経済学などの手法を応用して分析することが産業組織論の目的の一つです。
また、それに伴い、不完全競争市場の弊害を取り除き、競争的な市場環境を達成し維持するような政策を考えることは重要な問題となります。こうした競争に関する政策は競争政策と呼ばれます。
一方で企業の側からすると、いかにして競争を回避し高い利潤を獲得するのかを考えることは重要なテーマとなります。企業の価格設定やその他の様々な工夫や意思決定を経済学の視点で分析することをビジネスの経済学や経営の経済学と呼ぶことがあります。
本ゼミナールは産業組織論やそれと関連した競争政策・ビジネスの経済学について基礎から学習しそれを応用することで現実の経済を分析する能力を養うことを目的とします。
経済ゼミナールⅠ「産業組織論・競争政策論・ビジネスの経済学1」
ゼミⅠではテーマと関連した教科書の輪読を予定しています。また毎週各自が気になるニュースを取り上げ発表してもらいます。
経済ゼミナールⅡ「産業組織論・競争政策論・ビジネスの経済学2」
ゼミⅡでも教科書の輪読を継続します。また、各自の問題関心について議論することで、ゼミⅢでの卒業研究のテーマの選定も行います。
経済ゼミナールⅢ「卒業研究」
ゼミⅢではゼミⅠ・Ⅱで取り組んだ内容を各自の興味がある現実の経済に応用し分析を行います。最終的に学習成果をまとめ、卒業論文として仕上げます。
指導方針
ゼミナールⅠ
参考書に挙げた教科書の1冊を輪読する予定です。どの教科書を使うかは学生の興味や理解度に合わせて決めます。参考書に挙げていない教科書や資料を併用する場合があります。
具体的には、教科書の指定した範囲について毎回担当を決め発表してもらいます。発表者以外も必ず該当範囲をよく読んで予習し、わからないところを質問するようにしてください。質問をすることで議論が生まれます。質問は質問者にとっても発表者にとっても有益です。発表者はわかりやすい発表を心がけてください。発表する技術を向上することも学習の一環です。
ゼミナールⅡ
ゼミⅠの教科書の輪読を引き続き行います。また、各自の興味関心について話し合い、卒業研究の具体的なテーマを決めていきます。各自の問題意識から必要と思われるテキストや論文を適宜指示します。
ゼミナールⅢ
ゼミナールⅠ・Ⅱで学習した内容を応用して各自が興味のある現実の経済事象を分析し、卒業論文の完成を目指します。ゼミの時間に卒業論文の進捗を報告してもらいます。うまくいっていても、いっていなくても報告してください。うまくいっていない場合でもみんなで話し合うことで解決の糸口が見つかるかもしれません。
参考書
花園誠「産業組織とビジネスの経済学」有斐閣
小田切宏之「新しい産業組織論」有斐閣
丸山雅祥「経営の経済学」有斐閣
伊藤元重「ビジネス・エコノミクス」日本経済新聞出版
小田切宏之「競争政策論」日本評論社
入山章栄「世界標準の経営理論」ダイヤモンド社
指導教員プロフィール
専門分野 | 産業組織論 |
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主要業績 | 1. Junichi Haraguchi, Toshihiro Matsumura, and Shohei Yoshida (2018) “Competitive Pressure from Neighboring Market and Optimal Privatization Policy” Japan and the World Economy 46, pp.1-8. 2. Junichi Haraguchi and Hikaru Ogawa (2018) “Leadership in Tax Competition with Fiscal Equalization Transfers” The B.E. Journal of Economic Analysis & Policy 18(3) 3. Yuta Yasui and Junichi Haraguchi (2018) “Supply Function Equilibria and Nonprofit-Maximizing Objectives” Economics Letters, 166, pp.50-55 |
担当講義名 | 経済学Ⅰ/Ⅱ,ミクロ経済学 |
教員より新ゼミ生へ一言
映画館の学割・ファストフードのセット割・テーマパークの年間パス・人気俳優を採用した企業広告など、私たちが身近に利用するサービスからも、企業の様々な工夫を垣間見ることができます。こうした企業の行動にはどのような意図や効果があるのでしょうか。産業組織論は企業の合理的な意思決定という枠組みからこうした行動の効果を解き明かしてくれます。
ミクロ経済学やゲーム理論を勉強したけれど、こうした手法でどのような現実の経済現象を説明できるのかよくわからないという方は少なくないのではないでしょうか。私もこうした考え方を学んだ当初、その面白さや価値を十分には理解できませんでした。しかし、産業組織論などの応用分野を学ぶことで様々な身近な経済事象が経済学という統一された枠組みで理解できることの楽しさを知りました。学習を通して、受講生の皆さんにもそうした体験をしてもらえるようなゼミナールにしたいです。
選考方法
志望理由書と面接による。詳細は説明会で通達します。