坂田 大輔 ゼミナール
研究課題 |
経済ゼミナールⅠ 「社会の中の統計Ⅰ」
経済ゼミナールⅡ 「社会の中の統計Ⅱ」 経済ゼミナールⅢ 「社会の中の統計Ⅲ」 |
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研究内容
「嘘には三種類ある。嘘、真っ赤な嘘、そして、統計。」※という統計を語る際にしばしば引き合いに出される有名な言葉があります。一方で、近年の行政分野ではEBPM(Evidence Based Policy Makingの略語で「証拠に基づく政策立案」などと訳されます)が重要視されるようになってきています。EBPMにおいて、統計は特に重要な「証拠」とみなされています。つまり、統計とは嘘と並べられるほど怪しいものである一方で、政策立案における重要な証拠とみなされる存在、ということになります。どうしてこのようなことになったのでしょうか。
それは、統計が正しく利用できれば、適切な政策立案に役立つものである一方で、間違った利用の仕方をすれば嘘の同類となってしまう存在だからです。
このゼミナールの目標は、統計を正しく利用するにはどうすれば良いかを学び、統計に基づく議論や論文の執筆が出来るようになることです。この目標を達成するためには、分析の手法について学ぶだけではなく、利用しようと思っている統計の成り立ちについても学ぶ必要があります。なぜなら、完璧な統計というものはなく、皆なんらかの問題や制約があるからです。そうした統計の限界を知らずに分析や分析結果の解釈などを行うことは、統計という名の嘘をつくことに往々にしてつながってしまいます。
※“There are three kinds of lies: lies, damned lies, and statistics.”(Mark Twain(1907), “Chapters from My Autobiography.—XX.”, North American Review , No.618, Project Gutenberg (http://www.gutenberg.org/files/19987/19987-h/19987-h.htm)(2018年12月13日閲覧))この言葉は『トム・ソーヤーの冒険』などで有名な小説家マーク・トゥエインにより、英国首相も務めた政治家ベンジャミン・ディズレーリの言葉として紹介されました。
指導方針
ゼミナールⅠでは、ゼミナールⅡとゼミナールⅢに進むための基礎力を付けてもらいます。ゼミナールⅡとⅢでは、統計データに基づく議論と論文の執筆ができるようになることを目指します。
ゼミナールⅠでは、様々な統計に触れてもらうとともに※、それらの統計を利用するに際して、どこに限界があるのかを学んでもらいます。基本的には、実際の統計データをもとに、図表等の作成を行ってもらい、使用したデータはどのような統計のものか、何を意図してその図表等を作成したのか、何が分かったか、といったことなどを報告してもらいます。そして、その報告をもとにゼミ生間で議論を行います(報告内容に関して、私からコメントもします)。なお、統計データの利用方法やプレゼンテーションの仕方などについて一部講義形式の時間をとることもあります。
ゼミナールⅡは、輪読形式で行う予定です。最初は私の方で指定した書籍から、好きな章を選んでもらい、その内容を各自に報告してもらいます。報告後は、報告内容をもとに全員で議論を行います。指定した書籍が終わった後は、ゼミ生からの希望に沿って、輪読する書籍の設定を行います。また、終盤では、ゼミナールⅢの準備として、卒業論文のテーマ設定とそれに基づいて各人が選択した論文についての報告を行って貰う予定です。
ゼミナールⅢでは、ゼミナールⅡの終盤で設定したテーマに沿った研究報告、及び卒業論文の執筆をしてもらう予定です。
※ 経済関連のデータに限定せず、幅広い分野の統計データに触れてもらいたいと思っています。また、ゼミ生の皆さんの関心にもよりますが、国内の統計データだけでなく、海外の統計データにも触れてもらいたいと思います。
指導教員プロフィール
専門分野 | 経済統計、統計制度論 |
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主要業績 |
(単著)「インド統計学の実践性―独立後インドにおける第1回全国標本調査の成立とその調査目的に関する一考察―」『統計学』、2012年 (共著)『輝きに満ちたまち東温市を支える中小企業‐東温市中小企業現状把握調査の分析‐』、立教大学社会情報教育研究センター政府統計部会、2014年 (共著)『統計検定 統計調査士試験 対策コンテンツ(第3版)』、立教大学社会情報教育研究センター政府統計部会、2015年 (単著)「インドにおける雇用失業統計の再検討―ダントワラ委員会レポートを中心に―」『立教經濟學研究』、70巻、4号、2017年 |
担当講義名 | 経済統計 |
教員より新ゼミ生へ一言
時として教員側から話題提供や質問をすることもありますが、ゼミの醍醐味は、教員-ゼミ生間の議論ではなく、ゼミ生間での議論にあります。主役は皆さんです。言いたいことがあるのに、間違ったことやおかしなことを言ってしまったら恥ずかしい、そう思って黙って座っているのは、何よりももったいないことです。議論に積極的に参加して是非ゼミの醍醐味を味わってください。
選考方法
面接形式で選考を行います。説明会を行いますので必ず参加してください。